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マスターアーティストの作品
ロジェ ヴィヴィエは既存のコードをくつがえすアーキテクチャルなヒールをデザインしただけでなく、芸術作品の名にふさわしいシューズをデザインしました。シューズと言わず洗練されたスリエという言葉を使ったのも、そのクリエーションが女性のファンタジーに命を吹きこむ希少なものだったからです。彼のシューズの中で最も好まれたのはイブニングウェアシューズでした。ヴィヴィエ氏はクリスチャン・ディオールの仕事だけでなく、ルネ・ベゲというマスターエンブロイダー(刺繍)とも多くの仕事をしました。レベという愛称で呼ばれたこのマスターエンブロイダーは50年にわたるキャリアを通じてオートクチュール界のスター的存在でもありました。レベはヴィヴィエ氏のように引っ張りだこのフランスのデザイナーたちと提携しました。ヴィヴィエ氏の装飾的なシューズ、例えば1957年のイエローシルクシューズはレベと共につくったもので、ゴールドとシルクの糸で縫ったマルチカラーのシルクを組み合わせた複雑なフローラルパターンをアピールしていました。レベは縫い目の長さを変化させたフラワー、シルクの糸が流れる下にきらめくグリッターなど、ヴィヴィエ氏のデザインに味わいのある奥行きを与えました。リアルなフラワーとなるよう、深みやテキスチャーをデザインにとり入れました。

共に行った仕事はエンブロイダリーだけに限りませんでした。レベはヴィヴィエ氏のシューズをビーズ、ラインストーン、パールで飾りました。あるミュールはレベが手でビーズを縫いつけ、パールがデリケートな枝を伸ばしながらサイドからトップに登って行くようにデザインしました。この印象的なデザインはミュールの上に向いたソール、ショックヒールの大胆なカーブというアーキテクチャーによくマッチしていました。このようなノウハウとクラフツマンシップは、今日もロジェ ヴィヴィエのクリエーションのすべてに生きています。ゲラルド・フェローニとマスターアーティザンたちが創造する一つ一つのシューズはんヴィヴィエ氏とレベのスピリットをよく体現しています。